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第2節 熊本県の事例

 

1. Uターン制度開設のあらまし

 

熊本県はもともと農業立県であり、また観光立県でもあったが、昭和50年後半から漸次エレクトロニクス技術の高い先端産業の立地が多く見られるようになった。このころからテクノポリス構想が県によって検討が行われ、昭和59年にはテクノポリス開発計画の第一期が国によって承認されるに至り、以来ハイテク産業をはじめ多くの産業の企業誘致が活発に進められてきた。
一方、誘致企業が必要とする労働力の確保、とりわけ高度技術を有する人材の確保が重要となってきた。
欠かすことの出来ない人材確保について、熊本県では昭和58年にUターン者の詳細な実態調査を実施した。それによればUターン者の定着志向がズバ抜けて高く(79.3%)、特に男子のUターン者が全体の8割を占め、しかも専門・技術的な仕事や事務、販売など多くの職種に及んだ。

 

(1) Uターン者の定着志向
郷里を離れて三大都市圏や他県に就職または進学した後、Uターンしてもすべての人々が今後も続けて定住するとは限らず、一部のUターン者は再び出県していくかもしれない。そこで上記の熊本県調査では、Uターン者を定着または再転出の意志によって次の三つのタイプに類型化された。
a)定着型:今後も続けて現在の常住地または県内の各市町村に定着する意志をもっているタイプ(79.3%)
b)再出型:今後再び出県する意志をもっているタイプ(8.7%)
c)未定型:現在のところ、定着または再出のいずれとも意志を明らかにしていないタイプ(12.0%)
このような結果から高度技術者を確保するうえで、Uターン施策を積極的に推進することが必要と判断、昭和59年に全国で最も早く、他県に先駆けてUターンアドバイザー制度を開設した。
?@さて、昭和59年の制度開設から現在(平成8年12月末日)までの相談等の取扱い状況を図表6-2でみると、約23,000件の相談を受けている(内、東京事務所への相談件数累計10,520件)。
?A次に、相談者のうち実際にUターンを希望して登録を行った求職者数は、平成8年末現在までで2,483人に達する。そこでは25〜34歳までが57.9%(1,438人)と多くを占めるものの、40歳以上の11.5%(285人)も看過できない数となっている(図表6-3)。学歴別には大学卒が1,387人と求職者の55.9%と高い(図表6-4)。
?Bさらに、就職者数では1,100人を越え、対求職者比率で44.8%を数える。この就職決定者の職種は、SE・プログラマーが397人、電気(電子)技術が236人、機械技術者の152人の順で多い(図表6-5)。

 

(2) Uターンアドバイザー制度
熊本では『ゆたかさ多彩・生活創造くまもと』の名のもと、官・民力を合せて「豊かで明るい

 

 

 

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